スマートキーが多くの車種に搭載され、その微弱電波を拡幅して車を盗むリレーアタックと呼ばれる盗難手口が話題となりましたが、スマートキーの電波を全く必要としない車盗難の手口がCANインベーダーです。
自宅から離れた月極駐車場を利用の場合特に注意が必要です。翌朝駐車場から車が消えていたら困ってしまいます。
今回は、最新の車盗難システムCANインベーダーについて、その手段と対策を紹介します。
目次
CANインベーダーとは?
キャンインベーダーとは、車のあちこちに通っている「CAN信号」という配線を使って車のシステムに侵入することで、ドアの開錠からエンジン始動まで行い盗難する手口です。
車にはエンジンやモーター、バッテリーなどそれぞれを制御するコンピューターが多く搭載されてます。これら車内部のコンピューター同士をつないだネットワークのひとつが「CAN」です。
特に、比較的アクセスしやすいとされる左前のバンパー裏の配線から狙われる傾向にあります。
リレーアタックの場合は、狙った車のスマートキーが発する微弱電波を利用し盗みますが、玄関先にスマートキーが無かったり、節電モードで電波が遮断されている場合は盗めません。
コードグラバーの場合は、ロック時に発信されるイモビライザーIDコードを盗み取り、キーを複製する方法で、スマートキーの電波発生時でないと盗めません。
CANインベーダーは、スマートキーの微弱電波やIDコードを利用せず、直接車のシステムに侵入します。近くにキーの電波が無くても盗まれてしまうため、現在最も警戒しなければならない盗難手口です。
盗難防止に役立つ純正イモビライザーの機能は、車の制御システムに侵入されてしまうため役に立ちません。
キャンインベーダーの手口
狙った車のバンパーの一部を外し、中からCAN信号につながる端子を引き出します。
スマートフォンを充電するモバイルバッテリーのような特殊機器を接続し、車の制御システムに侵入しドアを開錠させる手口です。
電波を使用せず約10分ほどで車を動かすことが出来るため、夜間短時間の犯行が可能なため注意が必要です。
人通りの少ない月極駐車場を利用している場合は、狙われやすい傾向にあります。
狙われやすい車種
耐久性に優れ、海外でも人気の高い車種が特に狙われます。
トヨタランドクルーザー(プラドも含む)、プリウス、アルファード、ハイエース、レクサスLX570は特に注意が必要で、全てトヨタ系であることがわかります。
一般社団法人日本損害保険協会が公開している2022年の車名別盗難状況の調査結果1位はランドクルーザーです。また、10位まで全てトヨタ(レクサス含む)です。
トヨタのCANインベーダー対策
トヨタが純正後付セキュリティシステムを2023年8月に発売しました。
価格は取付工賃込みで約2.5万円~で安価のため、多くのユーザーが取付けるだろうと予想されます。
車外から通信ネットワーク(CAN)に不正侵入して流し込まれる信号を遮断し、不正なドア解錠やエンジンの始動を防ぎます。部品を取付けるだけで、特別な操作は不要です。
なお、先代モデルが対象で、新型モデルはこれから対象となる見込みのため注意が必要です。
社外品のセキュリティシステム
後付けイモビライザーシステムなど、社外品のセキュリティシステムを追加で装備するのもおすすめです。コンピューターシステムがメーカー純正とは異なるため、セキュリティ性能が増します。
加藤電機の「VIPER」シリーズ、「クリフォード」、ユピテルの「パンテーラ」「ゴルゴ」シリーズなどありますが、取付けも含めると20万円から40万円、車種や製品によってはそれ以上のシステムもあり、安心ですが費用負担は大きくなります。しかし、車を盗まれる方が高くつきますのでおすすめです。
物理的なセキュリティの追加
外観からロックがかかっていることがわかるタイヤロックやハンドルロックは、窃盗団の盗む気力を低下させます。
しかし、車に乗るたびにタイヤやハンドルのロックを解除しなければならず面倒です。レクサスLX570など大型SUVはタイヤロックを設置したままでも強引に走行可能な場合もあり注意が必要です。
まとめ
純正イモビライザーやセキュリティアラームを無能にするCANインベーダーによる盗難手口が増加しています。
スマートキーの電波も必要としないため、警戒が必要です。
CANインベーダーによる盗難防止対策は、キャンインベーダー対策済の社外セキュリティシステムを追加することがおすすめであり、タイヤロックやハンドルロックも有効です。